パネライに限らず、機械式の腕時計は「生き物」と称されることがございます。持ち主の扱いや気持ちに呼応するようにして、時を刻むペースが変化することは、お客様もよくお分かりのことと存じます。一方、パネライほどの機械精度であれば、さほど日差も生じないこともございます。こればかりは個体差が大きく、だからこそ魅了されてしまうのかもしれませんけれども…。
時計の進みや遅れは、様々な要因が複雑に絡み合いますことから、一概になぜそうなるのかを申し上げることができかねます。それは単純にムーブメントの油(グリス)が切れてしまったのかもしれませんし、長年にわたって時を刻み続けたことで、歯車の磨耗が進んでいるのかもしれません。私たちパネライのための修理工房は、どのお客様のパネライも必ずお預かりをして、内部を拝見したうえで修理のご提案を差し上げるように努めております。
十把一からげにするつもりは毛頭ございませんが、時計の進みや遅れを解決する方法は、オーバーホール(分解修理)に尽きます。パネライの裏蓋を取り外し、すべての歯車や軸をばらばらに。専用の液剤で汚れを洗い流したあと、丁寧に乾燥させたら、新品と同じように油(グリス)を注ぎながら組み立てます。さらに機械による誤差のチェック、調整を施して完成でございます。
もちろん、多少の遅れや進みは個性とお考えになっても良いかと存じます。それもパネライを楽しむ、ひとつの方法とお考えくださいませ。もし私たちパネライのための修理工房がお役に立てるようでしたら、是非ともご相談をお寄せください。できる限り、お力になりたいと思います。